高樹齢台木への居接ぎによるクリ黒根立枯病の発生防止


[要約]
シバグリ及び栽培品種を含むニホングリの実生台木には黒根立枯病抵抗性が期待できない。樹園地で、樹齢2年のクリ台木に居接ぎしたクリには黒根立枯病が多 発するが、樹齢差の大きい高樹齢の台木に居接ぎした樹には発生が少ない。
 福井県農業試験場・園芸バイテク部・果樹研究チーム
[連絡先]0776-54-5100   
[部会名]果 樹 
[専門]栽  培  
[対象]果樹類   
[分類]研  究    

[背景・ねらい]
昭和40年代から、福井県などで発生し始めたクリ若齢樹の枯死症は、Macrophoma属菌とDidymosporium属菌を病原とする土壌病害であることが明らかにされ、クリ黒根立枯病と命名されたが、本病害の薬剤防除には自ずから限界があり、耕種的な防止対策が求められているため、抵抗性台木の探索と居接ぎによる防止法を検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. @シバグリ及び栽培品種の実生を台木にしたクリの黒根立枯罹病
  2. ・シバグリ及び主要な5品種の1年生実生を台木にした「丹沢」を圃場に植え、黒根立枯病の罹病率を比較した結果、シバグリ台木が最も高く、他の品種はこれより低いが、罹 病しない台木はなかった(表1)
  3. ・秋田、茨城、福井、愛媛、熊本の各県で採集したシバグリ及び栽培歴の古い「豊多摩早生」、「乙宗」、「銀寄」、「小布施2号」及び「筑波」の1年生実生を台木にした「丹沢」の黒根立枯罹病率は、10〜20%で、台木間差異は認められなかった(表省略)。
  4. ・これらの結果から、ニホングリの実生台木には抵抗性が期待できない。
  5. A樹園地の自生シバグリ台木または直播養成台木に居接ぎした場合の黒根立枯罹病
  6. ・現地実態調査から、樹園地に自生するシバグリを台木に居接ぎした樹では、枯死樹が接ぎ木苗移植樹に比べて明らかに少なかった。なお、枯死原因はほとんどクリ黒根立枯病 であった(表2)
  7. ・樹園地にクリを直播し、養成した2年生実生に居接ぎしたクリの黒根立枯罹病率の累計は、接ぎ木苗移植樹に比べて高かった(表3)。居接ぎ樹は1年目から移植樹より生育が勝り(表4)、また居接ぎ樹に発生した黒根立 枯病樹と12年生の正常な居接ぎ樹のT−R率を比較した結果は、黒根立枯病樹が明らかに高かった(表5)
  8. ・これらの結果から、実態調査における居接ぎ樹で黒根立枯病の発病が少ないのは台木の樹齢が高くて、穂木との樹齢差が大きく、T−R率が小さいためで、黒根立枯病の発生 を防止するには樹齢が進み、根が十分発達した台木を利用する必要がある。

[成果の活用面・留意点]

  1. @黒根立枯病抵抗性台木の探索に活用される。ニホングリには抵抗性が期待できないので、ニホングリ以外の台木について探索を進める。
  2. A自生クリに居接ぎする方法は、新植の場合の黒根立枯病対策として活用できる。

[その他]
研究課題名:クリ立枯症の解明  
重粘多湿土壌におけるクリの生育調節による安定多収技術の確立
予算区分 :総合助成、県単
研究期間 :平成8年度(昭和52年〜平成2年、8年)
研究論文等:台木がクリ黒根立枯病の発生に及ぼす影響、園芸学会雑誌65(別2)、1996。
       
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