牛の体外受精培地へのハイポタウリンの添加効果
-
[要約]
- 現行の体外受精法であるカフェイン/ヘパリン法のカフェインの代わりにハイポタウリンを添加す ることにより、単精子侵入率および多精子侵入率ならびに胚盤胞発生率、品質が有意 に改善され、受胎率が向上した。
石川県畜産試験場・繁殖衛生科
[連絡先]0767-28-2284
[部会名]畜 産
[専門]繁 殖
[対象]家畜類
[分類]普 及
-
[背景・ねらい]
- 牛の体外受精技術が肉用牛増産に実用化されてきているが、実際、野外に応用する場合、使用する精液が限られ、胚盤胞発生率および受胎率が30%台と低く、ET産子の生産効率が悪い。そこで卵管液に高濃度(0.5〜2.0mM)含まれているハイポタウリンを受精培地にカフェインの代わりに添加し、受精率、胚盤胞発生率、品質、受胎性に及ぼす影響について検討した。
[成果の内容・特徴]
- @ハイポタウリン濃度について0,1,5,10mMで行った結果、添加区は、ヘパリン単独区(ハイポタウリン濃度:0mM)に比べ、有意に高い発生能を有し、1mMより10mMで媒精後24時間目の卵割率および8細胞期以上胚率ならびに胚盤胞発生率が有意に高く、濃度依存性効果を認めた。
- A対照区(現行法:5mMカフェイン/ヘパリン法)、試験区(10mMハイポタウリン/ヘパリン法)の媒精後5時間における単精子侵入率は、試験区が有意に高く、多精子侵入率は、有意に低かった(表1)。
- B胚盤胞発生率および脱出中以上胚盤胞率ならびに8細胞期以上胚に対する胚盤胞発生率において、試験区が有意に高かった(表2)。
- C1.5Mエチレングリコール(EG)および1.5Mエチレングリコール+0.1Mシュークロース(EGS)ダイレクト凍結融解検査において、対照区はEG区が新鮮胚区に比べ有意に発育率が低く、試験区では新鮮胚区と同等の成績であった(表3)。
- D1.5MEGSダイレクト移植における受胎率は、対照区34.9%、試験区64.4%と試験区が有意に高い値を示した(表4)。
- 以上の結果より、胚発生率および品質ならびに受胎率が有意に高く、ET産子の生産効率を上げるため、野外で普及可能な方法と考えられる。
[成果の活用面・留意点]
- @ ハイポタウリン/ヘパリン法は、5mMカフェイン/ヘパリン法で受精率の低い精子でも活用可能である。
- A 今後、ET産子の発育および産肉成績等の調査が必要である。
[その他]
研究課題名:凍結胚の受胎要因に関する研究
予算区分 :県経常
研究期間 :平成8年度(平成7〜11年)
発表論文等:日本繁殖生物学会誌投稿中
目次へ戻る