湛水散播栽培における転び苗・浮き苗防止のための水管理法


[要約]
砂質乾田の水稲湛水表面散播法において、代掻き後すみやかに播種し、播種直後および2葉期に落水処理を行うことにより、根の支持力が高まり、転び苗、浮き苗の発生を抑え、苗立率を高めることが可能になる。
富山県農業技術センタ−・農業試験場・機械営農課 
[連絡先] 0764-29-2111 │
[部会名]営農・作業技術 
[専門]作業 
[対象]稲類
[分類]指導 

[背景・ねらい]
砂質乾田における定幅散布機装着の乗用管理機やヘリコプタ−を利用した水稲の湛水表面散播栽培では、代掻き後 1〜2時間以上経過した時に播種されるが、従来の直播専用機を用いた湛水土壌中直播栽培に比べ、種子の埋没深が浅く、転び苗、浮き苗の発生が多くなり、問題になっている。そこで、砂質乾田の湛水表面散播栽培において、苗立ちを向上させるために、播種前の代掻きから苗立期にかけての水管理方法を明らかにする(表1)

[成果の内容・特徴]

  1. @酸素供給剤被覆籾を代掻き後すみやかに播種した方が、種子の埋没深は深くなる(図1)
  2. A播種後に湛水状態を保った場合には、種子の土中への固定が不充分で、埋没深は浅く(図1)、根の支持力は小さくなるため(図2)、転び苗、浮き苗の発生比率は高まる(図3)
  3. B播種直後および 2葉期の両時期に、田面に亀裂を生じる程度(2〜3日間)まで落水処理をすると、根の支持力は高まり、転び苗、浮き苗の発生が軽減されるため、苗立率は高まる(図3)
  4. C以上のことから、適度な減水深が期待される砂質乾田においては、代掻き後すみやかに播種し、播種直後および 2葉期の落水処理により苗立ちが安定する。

[成果の活用面・留意点]

  1. @代掻き時の水深は通常よりもやや浅くし、落水処理期間以外は 2〜3cmの浅水管理とし、昇温効果を高める。
  2. A定幅散布機を装着した乗用管理機による散播法では、播種時の走行溝を利用することにより潅排水が容易になる。
  3. B播種直後および 2葉期の両時期の落水処理後(代掻き後約 5日および20日)に除草剤を施用すれば効果的に雑草抑制が可能である。

  4. [その他]
    研究課題名:湛水散播栽培における省力管理作業法及び食味向上技術の確立
                 (エ)苗立ち向上のための播種床・水管理条件の解明
    予算区分 :国補(地域基幹)
    研究期間 :平成 8年度(平成 6〜8年)
    発表論文等:水稲湛水散播栽培における苗立向上法について−浮き苗・転び苗防止のための水管理法−,日本作物学会紀事,第64巻(別号 2),1995。
    
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