緩効性燐酸・加里肥料の前年施用による全量基肥施肥量の削減


[要約]
緩効性の熔燐や珪酸加里を土づくり肥料として前年に施用すると、翌年の水稲作において、速効性肥料の春施用と同等以上の肥効を示すため、全量基肥施肥法における基肥量から燐酸・加里分を削減することができる。
福井県農業試験場・生産環境部・土壌環境研究チ−ム 
[連絡先]0776-54-5100 
[部会名]生産環境
[専門]肥  料 
[対象]稲  類
[分類]指  導 

[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. @速効性PK肥料(過燐酸石灰+塩化加里)を前年に施用すると、春施用に比べ、水稲栽培期間中における土壌溶液のP、K濃度が大きく低下する。しかし、緩効性PK肥料(熔燐+珪酸加里)は、春施用と前年施用の土壌溶液の養分濃度差が小さく、前年施用による溶脱等の影響が小さいことが認められた(図1図2)
  2. A緩効性PK肥料を前年に施用した場合の3要素吸収量は、速効性PK肥料の春施用や前年施用に比べ同程度〜やや上回る程度得られた。Si吸収量については資材間差が大きく、Siを含む緩効性PK肥料が施肥時期に拘らず速効性PK肥料を上回った(表1)
  3. B収量(乾物生産量)は、緩効性PK肥料が施肥時期に拘らず速効性PK肥料を上回った。また、速効性PK肥料は施肥時期の差が大きかったのに対し、緩効性PK肥料は施用時期の差はほとんど認められなかった(表1)。一方、現地圃場試験では、緩効性PK肥料の前年施用が速効性PK肥料の春施用に比べ収量・品質等でほぼ同等の結果が得られた(表2)
  4. C以上の結果から、緩効性の熔燐や珪酸加里を土づくり肥料として施用することにより、従来の全量基肥施肥から燐酸および加里分を削減することが可能と判断された。

[成果の活用面・留意点]

  1.  高窒素成分の全量基肥肥料を用いる場合、不足する燐酸・加里分を補うため、熔燐や珪酸加里など緩効性肥料を土づくり肥料として前年秋に施用する。

  2. [その他]
    研究課題名:水稲全量基肥施肥法実用化技術確立事業、環境保全型栽培基準設定調査事業
    予算区分 :県単、土壌保全
    研究期間 :平成6〜8年
    発表論文等:日本土壌肥料学会中部支部、1996:水稲全量基肥栽培における燐酸・加里の前年施用の影響
    
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