低湿重粘土水田における土壌リン酸肥沃度の推定法


[要約]
低湿重粘土水田における土壌のリン酸肥沃度(土壌リン酸供給力)は、ブレイUリン酸と遊離酸化鉄の測定値を用いて推定することが可能である。
新潟県農業試験場・環境保全科・環境保全グループ 
[連絡先]0258-35-0047 
[部会名] 生産環境 
[専門]土  壌 
[対象]水  稲 
[分類]指  導

[背景・ねらい]
全国的に農耕地土壌へのリン酸蓄積が問題となっており、新潟県を代表する低湿重粘土水田においてもリン酸の蓄積が見られ、土壌のリン酸肥沃度を考慮した合理的な施肥体系の確立が必要となっている。そこで、土壌リン酸肥沃度の指標となる土壌リン酸供給力を、これまでの蓄積データから簡易に推定する方法を検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. @試験に供した水田土壌の遊離酸化鉄は 0.4〜4.7%(平均2.0%)、全リン酸は 154.6〜424.3mg/100g乾土(平均241.5mg/100g乾土)の範囲にあった(表)
  2. A全リン酸に対するブレイUリン酸の抽出率は遊離酸化鉄が多くなると逆に低くなり、次式でよく表すことができた(図1)。 Y=34.958X−0.7657 R2=0.8861 Y:ブレイUリン酸/全リン酸×100(%)  X:遊離酸化鉄(%)
  3. B土壌リン酸供給力(風乾土、25℃、30日間湛水保温培養;ブレイU法)の全リン酸に対する抽出率は、遊離酸化鉄の多少に関わらず45〜70%(平均54.4%)となった(図2)
  4. Cこれらの結果から、土壌リン酸供給力はブレイUリン酸と遊離酸化鉄の測定値を用いて次式により推定できる(図3)。 W=100/34.958X−0.7657×Z×0.544 W:土壌リン酸供給力(mg/100g乾土) X:遊離酸化鉄(%) Z:ブレイUリン酸(mg/100g乾土)      土壌リン酸供給力の全リン酸に対する抽出率;54.4% 

[成果の活用面・留意点]

  1. @推定式に関しては、データの蓄積を行いながらさらに精度を高める必要がある。
  2. Aこの推定式は黒ボクが混入している土壌では適用できない。

  3. [その他]
    研究課題名:環境保全型水稲施肥基準設定事業
    予算区分 :県単事業
    研究期間 :平成6〜8年
    発表論文等:低湿重粘土水田におけるリン酸肥沃度に対する有機物連用の影響、日本土壌肥料学会関東支部大会、1995。
    低湿重粘土水田におけるリン酸施用と土壌蓄積の検討、日本土壌肥料学会1996年度大会、1996。
    
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