プレスリリース

平成16年3月19日
独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構
   中央農業総合研究センター北陸研究センター
原酒造株式会社

大粒・低グルテリン水稲品種「春陽」から造ったお酒
−淡麗で,のどごしが良くワイン風味−


要 約

 中央農業総合研究センター・北陸研究センターでは新潟県柏崎市にある原酒造株式会社と共同で低グルテリン品種「春陽」(北陸研究センターで育成)を原料とした新しいタイプの日本酒を開発しました。「春陽」は麹菌が利用できる水溶性のタンパク質が少ないので、アミノ酸が少なく、雑味の少ない淡麗な酒を作ることができ、「初摘み春陽」という名前で製品化されました。

【研究の背景とねらい】
 米のタンパク質は、主にPB-T(プロテインボディ-T)とPB-U(プロテインボディ-U)という2種類のタンパク顆粒に蓄えられます。PB-Tは水に溶けにくく、プロラミンというタンパク質を蓄積します。一方、PB-Uは水に溶け、グルテリンというタンパク質を蓄積します。「春陽」は、水に溶けるグルテリンを一般品種の約3分の1まで減らした品種です(表1)。麹菌は水溶性のタンパク質を分解してアミノ酸を作りますが、アミノ酸が多いと酒に雑味が出ることが知られています。お米のタンパク質は、お米の表面に近いほど多く蓄えられるため、雑味の少ないお酒を造る時には、お米を表面から削って、タンパク質の多い部分を取り除いた高度精白米を利用します。高度精白を行わなくてもアミノ酸の量を下げられる低コストの酒造用米としての「春陽」の可能性を検討するため共同研究に取り組みました。北陸研究センターでは「春陽」の栽培特性および精白歩合とグルテリン含量との関係を調査し、原酒造株式会社では、「春陽」の酒造特性の調査と醸造法を検討して、製品化につなげました。

【製品の特長】
  「初摘み春陽」は、春陽のお米の30%を削って70%を残した精白米で造りましたが、アミノ酸の量は、通常の酒米を50%削った高度精白米を用いた大吟醸酒並みに低くなっています(表2)。香りが良く、さっぱりとして、やや甘味のある淡麗な酒に仕上り、ワイン風味の新しいタイプのお酒となっております。

【成果により期待される効果】
 低グルテリン品種を利用すると、高度精白を行わなくても良質の清酒ができ、一般の酒造好適米よりアミノ酸の量を少なくできることが明らかになりました。低グルテリン品種を原料として、新しいタイプの酒製品を開発することにより、日本酒の需要の拡大につながることが期待されます。


研究推進責任者 中央農業総合研究センター 北陸農業研究官 松葉 捷也  025-526-3210
研究推進責任者 原酒造株式会社 代表取締役社長 原    吉隆  0257-23-6221
研究担当部長 中央農業総合研究センター 北陸地域基盤研究部長 田中  宥司  025-526-3237 
研究担当者 中央農業総合研究センター  稲育種研究室長 三浦  清之  025-526-3239
研究担当者 原酒造株式会社 製造課長 石黒  芳和  0257-23-6221
広報担当者 中央農業総合研究センター 情報資料室 横田 道子  025-526-3215

*本資料は、農政記者クラブ・農林記者会・筑波研究学園都市記者会にも資料配付を行っています。


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