| プレスリリース |
平成20年 4月 8日
|
農研機構
中央農業総合研究センター北陸研究センター |
| 原酒造株式会社 |
|
農研機構が育成した酒造好適米新品種「越神楽(こしかぐら)」と
その特性を活かしたお酒
|
農研機構 中央農業総合研究センター北陸研究センターは、栽培特性と醸造適性の両立を目指して、酒米品種「山田錦」と「北陸174号」の交配組合せから「越神楽」を育成し、原酒造株式会社(新潟県柏崎市)との共同研究で、醸造適性の検討と新清酒の製品化を行ってきました。その結果、酒造適性が認められたため、平成19年8月27日に品種登録の出願を行い、このたび、「越神楽」から造ったお酒が原酒造株式会社から製品化されることとなりました。
|
研究推進責任者 農研機構 中央農業総合研究センター
北陸農業研究監 宮井 俊一
原酒造株式会社 代表取締役社長 原 吉隆
研究担当者 農研機構 中央農業総合研究センター
低コスト稲育種研究北陸サブチーム 三浦 清之
TEL 025-526-3239
原酒造株式会社 製造課長 石黒芳和
TEL0257-23-6221
広報担当者 農研機構 中央農業総合研究センター
企画管理部 北陸企画管理室 連絡調整チーム 山本 コ義
TEL 025-526-3215 FAX 025-524-8578
本資料は、上越記者クラブ、柏崎市記者クラブ、筑波研究学園都市記者会、農政クラブ及び農林記者会に配布しています。 |
*「農研機構」は、独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構の略称です。
|
【参 考】
《背景とねらい》
清酒の製造数量は、1973年の1,421千klをピークとして、それ以降、減少傾向にあり、2006年には、ピーク時の37%程度である524千klまで落ち込んでいます。この清酒の需要低迷の中で酒造会社では、自社製品の販売促進のため、各社の個性を生かした製品開発の動きが活発化しており、新たな酒造好適米への関心が高まっています。特に、寒冷地南部では、米の生産が「コシヒカリ」等の良食味品種へ偏重しているため、「トドロキワセ」、「トヨニシキ」等の良質な掛米の確保が困難な状況となっています。また、酒造好適米として大吟醸酒等に用いられる「山田錦」は、極晩生であり、寒冷地南部では安定した栽培が困難であるため、「山田錦」に匹敵する酒造適性を持つ新しい酒造好適米が求められてきました。このような情勢の下で、原酒造株式会社(新潟県柏崎市)では、中央農業総合研究センター北陸研究センターとの共同研究で、「越神楽」の酒造適性の検討を行ってきました。
《成果の内容・特徴》
1.「越神楽」の玄米千粒重は25g前後で、兵庫県産「山田錦」よりわずかに小さいですが、整粒歩合はほぼ「山田錦」並で、45%精米時の砕米率は、年次によって変動がありますが、「山田錦」並かやや少なく、高度精米耐性があります(表1)。
2.「山田錦」より45%精米のタンパク質含量は0.5%程度高く、吸水速度はわずかに遅く、麹の力価はわずかに低いです(表1)。
3.醸造時のアルコール収率および生成酒のアミノ酸度は「山田錦」とほぼ同等です。
4.「越神楽」の生成酒は、“味がしっかりし、やわらかさと深みがある”と評価され、
“繊細できれい”な「五百万石」や“味の奥行きがあり、やわらかみの奥から味が徐々に広がる”と評価される「山田錦」とは異なることから、新たな商品開発が期待できます。
5.「日本晴」より出穂期は6日、成熟期は8日ほど早く、育成地では“晩生の早”に属するものです。稈長は“やや長”で、草型は“中間型”であり、耐倒伏性は“やや弱”、千粒重は「日本晴」より重くなっています。収量は「日本晴」並であり、掛米としても十分利用可能な収量性をもつと考えられます。
6.以上の特性から、精米歩合50%以下の吟醸酒用および大吟醸酒用掛米としての利用が計画されています。
《品種の名前の由来》
神楽とは、豊作、豊漁を願い、病気を追い払う儀式として古くから舞われてきた神にささげる歌や踊りのことで、神の恩恵のもとに新潟清酒を支える酒米として成長していくことを願って「越神楽」と名づけました。
《製品の特長》
山田錦の血を引き継ぎ、やわらかさの中に味の巾と旨味を感じる酒に仕上がっています。
《掛米とは》
一般に酒造好適米は、麹を作るための麹米とその麹米をもとにして、発酵に用いる掛米に分けられます。掛米も麹米と同様、アルコールの生成の高さや適正なアミノ酸度が求められますが、大量に用いるため、栽培のし易さ、一般品種と変わらない収量性が必要です。
|
|
|
表1 品質特性 (原酒造株式会社 平成16〜18年)

|
表2 酒造特性 (原酒造株式会社)

|
表3 生育特性 (育成地)

|

「越神楽(左)」の籾と玄米:右は日本晴 製品「越の誉大吟醸」 |