トピック

遺伝子組換え体隔離ほ場・稲機能解析実験棟の竣工


 隔離ほ場は,農林水産省が定める「遺伝子組換え体の利用指針」にもとづき,組換え作物の環境に対する安全性評価試験を行うための施設で,平成11年3月に竣工しました。ここで試験される組換え作物は,隔離温室及び非閉鎖系温室において科学技術庁の「組換えDNA実験指針」に従い,導入遺伝子の発現や生育・遺伝・生殖などの特性及び有害物質産生などが詳しく調べられ,これらの安全性がすでに確認された作物です。この施設では組換え作物を野外で栽培したときの環境影響評価として,周辺植物,土壌微生物,訪花昆虫などへの影響や周辺植物との交雑性,雑草性などの安全性が調査されます。総面積約25aの中に,2区画の水田15aと113uの管理棟及び焼却炉があります。この水田面積の規模は我が国の国立研究機関の中で最大で,農水省では2番目に建設された水田施設です。ほ場の周囲は道路で空間を作り,ほ場全体を金網のフェンスで囲み,稲が実ったときは水田全体に防鳥網を張ることで,人や犬,鳥などの侵入を防ぐとともに,稲わらなどは焼却炉で処分するなど,組換え稲が外部に流出しないような構造になっています。この施設の完成により,当場には遺伝子組換え研究を実施する上で必要なすべての施設が整備されました。今後とも稲の実用的な遺伝子組換え研究の中核機関として,研究の透明性と安全性に十分配慮しながら一層研究を加速させ,優れた品種の育成を目指します。

 稲機能解析実験棟は,主として稲の遺伝子やゲノムの解析研究及び遺伝子組換え研究を行う共用の実験施設として,平成11年9月に竣工しました。総2階建てで,延べ床面積は640uあり,これらバイオテクノロジー研究が施設内で一貫して実施できるように,1階部分には試料調製室,人工気象室,資材庫,準備室,種子庫,研究交流室なとが配置され,2階部分には遺伝子操作室,ゲノム解析室,培養室(2室),機器分析室,データ解析室,滅菌室,低温実験室,暗室が機能的に配置されています。この施設では現在,組換え稲研究グループの研究員,重点研究支援協力員,非常勤職員などが集まり,耐病性の付与や高品質化などに役立つ遺伝子を単離したり,新しい遺伝子組換え技術の開発や組換え稲の大量作出などの研究を集中的に実施しています。この施設で作出された組換え稲系統は,隔離温室,非閉鎖系温室,隔離ほ場へと移され,各段階で遺伝的特性や環境への安全性が評価されます。なお,1階部分の人工気象室,資材庫及び準備室は総合研究チームなどの多目的な研究スペースとして活用されています。

                        (地域基盤研究部長 黒田 秧)

遺伝子組換え体隔離ほ場(左)及び稲機能解析実験棟(右)

遺伝子組換え体隔離ほ場(左)及び稲機能解析実験棟(右)


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